カプグラ症候群

妄想性人物誤認症候群のひとつ

「家族、恋人、親友などがいつのまにか瓜二つの偽物(替え玉)に置き換わっている」という考えにとりつかれる妄想のこと。「ソジーの錯覚」とも呼ぶ。
1923年にフランスの精神科医ジョセフ・カプグラ(J.Capgras)とルブール・ラショ(J.Reboul-Lachaux)によって発見された。自己・他者のアイデンティティ誤認に関する症候群で、最初の症例は「自分は高貴な家の出身で、乳児期に死んだ子供達は替え玉で本物は悪の結社によって地下に幽閉されており、夫も外見がそっくりな替え玉である」というものであった。
自分と親密な関係にある家族や恋人、親友を「偽者(替え玉)」と思い込んでしまうほか、自分自身や動物をはじめ、ビル、空や家具、機械や道路標識まで、生物/無生物にかかわらず、ありとあらゆるものを「にせもの」の対象にしてしまう。
自分や他人のアイデンティティ(同一性)や親近感が拡散してしまうことから、それらが本物ではないような気がしてしまうので「あなたは私の家族(友人)ではない」と断定してそのまま関わりを持たなくなる場合もある。